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ニワか知識で語ります。

戦国ブログ。大好きな武将・丹羽長秀様について真面目に調べたり考察したり、時に不真面目な妄想をしたりしてます。

読書:「丹羽長秀一代」

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読書:「丹羽長秀一代」

「丹羽長秀一代(小木國弘さん著・自費出版?)」を
読みましたので感想を残しておきます。
今まで読んだ丹羽さん関係本の中で最高の本だと思います!


…もう一度言っておきます。
この本以上に”丹羽長秀”という人物について深く追求し、
その姿を愛を持って描ききったご本は
後にも先にも無いであろうと!
全ての丹羽長秀ファンを満足させる事が出来るご本だと!

2008年出版。454Pという大ボリューム!
福井で歴史ボランティアをやってらっしゃる著者さんが16年もかけて
丹羽さんのことを研究・調査し、出版されたという事だけあって
文章の隅々から丹羽さんに対する敬意が
ヒシヒシと伝わってきます。

描かれている時代は
丹羽さんが信長様に仕え始めた頃から始まり
お亡くなりになるまで。
しかも、丹羽さんといえば本能寺後の姿ばかり注目されがちですが
このご本では本能寺後の話が最後の30pぐらいしかないので
丹羽さんが織田家臣として生き生きと活動されてる姿を
思う存分楽しむ事が出来るのです!

内容ですが、ざっくりいうと「大河ドラマ風」。
話を盛り上げるための過剰な演出や持ち上げ方はあまりせず、
在りし日の丹羽さんの姿をリアルに描こうとすることに
力を入れられておられて。
前半は、戦にも参加しつつ内政も行い、後半になると、内政メイン。
現代に伝わっている丹羽さんが行ったこと
ほぼそのままの出来事を中心に書かれているのですが、
その毎日の過ごし方の様子が、本当に作者さんが丹羽さんについて回って
見ていたんじゃないかというぐらいものすごく詳しく書かれていて。
行った内政の内容だけでなく、日常シーンも!
早朝の朝駆けが日課だとか、話の途中でわざわざ厠に行ったという記述があったり
側室とのいちゃいちゃシーンの描写もあったりw
あと、信長やその身内または家臣、丹羽さんのご家族や家臣、
などとの会話シーンが非常に多く
丹羽さんが周りにどう思われてたか、または丹羽さんが周りをどう思っていたか
なども想像しやすくなっていて。
この本を読んでる間は自分も近くで丹羽さんの生活を
ずっと見ていたような気持ちになれました。

このご本で描かれている丹羽さん像ですが、基本的にとても真面目。
信長に命じられたことを自分なりの工夫を加えて
最良の形できびきびこなしていく出来る社員といった風で。
(真面目すぎて、側室を連れ帰る時に本妻や娘や信長に申し訳ないという
思いでいっぱいになってるかわいいシーンもあったり。
戦国武将なんだから側室なんて何人居ても良さそうだし、
もっと堂々としてればいいのにw)
あまり感情を高ぶらせる事はないけれど
他人に対する気配りや優しさも兼ね備えていて
リアルに上司や親などとして側に居て欲しい、
いっそ今の日本を治めて欲しいと思えるような
人格者に見えました。

信長との関係性もまた良くて。
信長は丹羽さんの事を本当に身内のように思っていて
丹羽さんが仕事の報告に来る度に
「帰る前にうちの嫁にも顔見せてやってくれ」などと言ったり
織田家の身内イベントに積極的に参加させたり
丹羽さんだけでなく丹羽さんの家族のことまで気にかけていたり
(この本での丹羽さんと正室との子供2人の名付け親は
両方共に信長という事になってました)
「裏方的な仕事ばかりさせて申し訳ない」と気遣ったり
またそういう仕事もこなせるのは丹羽しかいないからとべた褒めしたり
丹羽さんの事を本当に大切にしていて。

信長のセリフで
「戦で戦功を上げるのが目立つ働きに見えるが、
各武将が充実した働きをするためには、軍事物資や食料、
砦や城などを造成する人夫が必要。
それらを揃えるのに必要なのは全て金。
これらの手配に最も優れているのが織田家中では丹羽である。
織田軍は急激に領土を広げたから、その手配が本当に重要」
と言うのがあったのですが
まさに丹羽さんの価値ってそこなんだと思いました。
戦働きばかり目立つ武将が優れてるワケではないんですよ!
そもそも裏で誰かが物資等の補給をしなければ戦なんて出来ませんし!
サポート役に回されたから他の家臣より下とか絶対そんな事ない!
もっと丹羽さんは評価されるべき!

…で、丹羽さんの方も
この本では、一般的に信長様の非道な行いとして有名なエピソードも
(比叡山の焼き打ち・髑髏の杯・村重の関係者虐殺など)
あの時代としては仕方ないことだとか意味がある事だと考えられており
また丹羽さんもそのように理解しているので
信長に対して不信感を抱くシーンも一切なく
最初から最後まで心の底から信長に仕えているという風で。
そして信長の考えをあまりにもよく理解してるからか
「さっき信長様もお前と同じこと言ってたぞ」みたいな事を
勝家や秀吉に言われてしまう微笑ましいシーンもあったりw

信長様が亡くなった後に丹羽さんが悲しむシーンが
ほぼ無かったのはちょっと残念でしたが
そもそもこのご本では丹羽さんは感情的になるキャラではないですし、
それよりも、本能寺の変時に敵の手に渡ってしまった佐和山に残してきた
家族や家臣が無事だったことへの喜びが大きかったり、
また荒れた世に戻るのではと不安に思ってるであろう領民を安心させるために
ますます治世に力を入れたりと、悲しんでる余裕はなかったですし、
以上の理由で、秀吉がデカイ顔をし出した時も
ちょっと気になりはしたものの、文句とか言ってる場合ではないと思い直し、
最後まで領民のために力を尽くし、
秀吉に対して悔しい思いを抱いたまま亡くなったなんていう記述も一切なく
家臣や家族に惜しまれながら亡くなったという
非常に気持の良い終わり方で。

最後の最後まで丹羽さんの生涯を存分に楽しめる
そんな最高のご本でした!

丹羽さんファンだけでなく少しでも丹羽さんに興味をもった方など
たくさんの方に読んで頂きたいご本なのですが
自費出版での発行な上に、
残念ながら作者様が昨年お亡くなりになられたようで、
誰もが気軽に入手出来る状況では無いようで…。
(私はたまたま古本専門通販サイトで見つけたので
手に入れられたのですが。そもそもこの本の存在も
某SNSで話題にのぼってるのを偶然見つけたもので;)
作者様も「この本に刺激を受けて新しい丹羽長秀の書籍が本屋に
沢山出回ることを期待している」とあとがきに
その想いを残しておられることですし、
このご本をもっと世の中に広めたいです。
なにか方法はないものでしょうか…。
本当に、本当に…。

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プロフィール

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cecinyamo
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非公開
自己紹介:
2012年頃から戦国時代に興味を持ち始めたまだまだ戦国知識初心者です。 気になってる武将:丹羽長秀様と織田家・北条家と風魔一族。

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お絵描き練習関係:ceciinyan
趣味語り用:oni_yanawin

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